クリニックのホームページ制作で失敗しないための考え方
ホームページのことを考え始めたとき、
「このままでいいのかな」
「そろそろ見直した方がいいのかもしれない」
そんな思いが、ふと頭に浮かぶことはありませんか。
集客が以前ほど安定しなかったり、
ホームページは一応あるけれど、
正直、どれくらい役に立っているのか分からなかったり。
だからといって、
「今すぐ何かを決めなければいけない」
という状況でもなく、
なんとなく考えが止まってしまう。
そんな方も多いように感じます。
これまでの記事でもお伝えしてきたように、
集客がうまくいかない理由は、
診療の腕や、これまでのやり方そのものに
あるわけではありません。
多くの場合、
“伝え方”や“構造”の部分で、
少し整理が必要なだけなのです。
では、
ホームページを作る、あるいは作り直すとき、
何から考えればいいのでしょうか。
どんな視点を持っていれば、
あとから「失敗した」と感じずに済むのでしょうか。
このページでは、
ホームページ制作を考え始めたときに
知っておきたい
「失敗しないための考え方」を、
専門的な話はできるだけ控えながら、
順を追ってお話ししていきます。
制作会社の選び方や、
デザインや機能の話に入る前に。
まずは、
考え方の土台を整えるところから
一緒に整理してみませんか?
「ホームページを作れば集客できる」という誤解
ホームページ制作を考え始めたとき、
多くの方がどこかで
「ちゃんとしたホームページを作れば、集客も自然とうまくいくはず」
と期待してしまいます。
これは、とても自然な感覚です。
実際、
これまでの集客や広報の中では、
「ホームページを持つこと」そのものが
信頼につながっていた時代もありました。
だからこそ、
時間や費用をかけて制作したにもかかわらず、
思ったほど反応がなかったとき、
戸惑いやがっかり感を覚えてしまうのも無理はありません。
けれど、
ここで一度、落ち着いて考えてみたいのは、
ホームページは“作っただけ”で
自動的に集客してくれるものではない
という点です。
ホームページは、
チラシや看板のように
「見ればすぐに来院につながるもの」ではなく、
患者さんが情報を集め、比較し、
納得するための場所です。
つまり、
ホームページそのものが
集客の“ゴール”なのではなく、
集客を支える“途中の役割”を担っている、
という位置づけになります。
そのため、
「とりあえず作る」
「他院も持っているから作る」
というスタートだと、
どうしても
“何のためのホームページなのか”
が曖昧なまま進んでしまいます。
結果として、
見た目は整っていても、
誰に、何を伝えたいのかが分かりにくく、
患者さんの判断材料になりきらない、
という状態が生まれてしまうのです。
これは、
制作の良し悪しや、
先生の考え方が足りないという話ではありません。
スタート時の前提が少し違っていただけ
というケースがほとんどです。
次の章では、
こうしたズレが生まれやすい
「ホームページ制作の始め方」について、
もう少し具体的に整理していきます。
失敗してしまうクリニックに共通するスタート地点
ホームページ制作で
「思っていたような効果が出なかった」
「結局、何が良かったのか分からないまま終わってしまった」
という声を伺うことは、決して少なくありません。
ただ、その多くは
特別な失敗や判断ミスがあったというよりも、
始め方の段階で、少しだけズレがあった
というケースがほとんどです。
例えば、
「とにかく今のホームページが古いから」
「周りのクリニックも作り直しているから」
といった理由から、
具体的な整理をしないまま制作に進んでしまう。
あるいは、
「専門的なことは分からないから」と、
判断をすべて制作会社に任せてしまう。
そうしたスタートも、とても自然なものです。
忙しい診療の合間に、
制作のことまで細かく考えるのは大変ですし、
専門外の分野で迷うのは、誰でも不安になります。
ただ、
この段階で
「何を目的に、誰に向けて、何を伝えたいのか」
が整理されていないと、
完成したホームページが
先生の意図とは少し違う方向に
仕上がってしまうことがあります。
結果として、
見た目はきれいでも、
「なぜこの内容になったのか」
「何を伝えたかったのか」
が自分でも説明しにくい状態になってしまう。
それが、
あとから
「これで良かったのだろうか」
「結局、何が正解だったのか分からない」
という違和感につながっていきます。
ここで大切なのは、
失敗したかどうかを振り返ることではなく、
どんな前提でスタートしていたかに
目を向けることです。
次の章では、
制作を始める前に
最低限ここだけは整理しておきたい、
とてもシンプルな視点についてお話ししていきます。
制作前に整理しておきたい、たった一つの視点
ホームページ制作を考えるとき、
つい
「どんなデザインにするか」
「どんな機能を入れるか」
といった話から始めてしまいがちです。
けれど、
制作前にどうしても欠かせない視点があります。
それが、
患者さんの目線で見たとき、どう映っているか
という一点です。
難しく考える必要はありません。
専門的なマーケティングの知識も、
特別な言葉も必要ありません。
大切なのは、
初めてそのホームページを訪れた患者さんが、
どんな気持ちでページを開き、
何を知りたくて、
どこで安心できるか、
という流れを想像してみることです。
患者さんは、
「この先生は信頼できるか」
「自分の話をきちんと聞いてくれそうか」
「ここなら相談しても大丈夫そうか」
そんなことを、
文章や写真、情報の並び方から
無意識に感じ取っています。
そのとき、
先生が伝えたいことと、
患者さんが知りたいことの順番が
ずれてしまっていると、
どれだけ丁寧に作られていても、
安心感は伝わりにくくなってしまいます。
だからこそ、
制作に入る前に一度だけ、
こんな問いを立ててみてください。
「このホームページは、
初めて来る患者さんの不安に、
きちんと応えられているだろうか」
この問いを持ったまま進めるだけで、
ホームページの方向性は大きく変わります。
次の章では、
デザインや機能といった具体的な話に入る前に、
もう一歩だけ立ち止まって考えておきたいことについて、
整理していきます。
もし、
「自分の判断が間違っていたのでは」
と感じることがあれば、
こちらの記事も参考になるかもしれません。
▶︎ 集客できないのは腕のせいじゃない?クリニックのホームページの盲点
「デザイン」や「機能」を決める前に考えるべきこと
ホームページ制作の相談をすると、
どうしても話題に上がりやすいのが、
デザインや機能のことです。
「今っぽいデザインにした方がいいのでは」
「スマホ対応はどうなっているのか」
「予約システムを入れた方がいいのか」
こうした点が気になるのは、とても自然なことだと思います。
実際、
デザインや機能は、
使いやすさや印象に関わる大切な要素です。
ただし、
それらは “先に決めるもの”ではありません。
なぜなら、
何を伝えたいのか、
誰に向けたホームページなのか、
その前提が整理されていないままでは、
どんなデザインや機能を選んでも、
判断の軸が定まらないからです。
例えば、
「やさしい雰囲気にしたい」
「信頼感を出したい」
と感じていても、
その背景にある
患者さんの不安や来院理由が整理されていなければ、
デザインの方向性も、
制作会社の提案に流されやすくなってしまいます。
同じように、
予約機能やお知らせ機能なども、
「便利そうだから」という理由だけで導入すると、
実際の診療の流れや患者さんの行動と合わず、
使われないままになってしまうこともあります。
大切なのは、
デザインや機能を否定することではなく、
それらを選ぶための土台が整っているか
という点です。
患者さんに、
どんな安心感を持ってもらいたいのか。
どんな不安を解消したいのか。
その答えが見えてくると、
必要なデザインや機能は、
自然と絞られていきます。
次の章では、
そうした考え方をもとに、
「失敗しないホームページ制作」は
何によって左右されるのかについて、
もう一段踏み込んでお話ししていきます。
失敗しないホームページ制作は「選び方」で決まる
ホームページ制作を考え始めると、
「どの制作会社に頼めばいいのか」
「実績が多いところの方が安心なのか」
と、選び方に迷ってしまう方は少なくありません。
専門外の分野だからこそ、
判断が難しく感じるのは当然です。
ただ、
ここで大切にしたいのは、
“正解の制作会社を探す”ことではありません。
失敗しないホームページ制作は、
どこに頼むか以上に、
どんな姿勢で選ぶかによって左右されることが多いのです。
例えば、
最初から答えを提示してくれる会社よりも、
先生の話を丁寧に聞き、
「何を大切にしているのか」
「どんな患者さんに来てほしいのか」
を一緒に整理してくれるかどうか。
デザインや機能の提案だけでなく、
「なぜそれが必要なのか」
「患者さんにどう伝わるのか」
を言葉にしてくれるかどうか。
そうしたやり取りの中で、
先生自身が
「なるほど、そういうことか」
と腑に落ちる感覚があるかどうかは、
とても大切な判断材料になります。
また、
すべてを任せきりにするのではなく、
先生の考えや違和感を
遠慮なく伝えられる関係性かどうかも重要です。
ホームページは、
制作して終わりではなく、
これから先も使い続けていくものです。
だからこそ、
一度きりの作業としてではなく、
一緒に考えながら形にしていける相手かどうか
という視点で選ぶことが、
結果的に失敗を防ぐことにつながります。
次の章では、
そうした考え方を踏まえたうえで、
「ちゃんとした院ですね」と言われるホームページに
共通して見られるポイントについて、
少しだけ触れていきます。
「ちゃんとした院ですね」と言われるホームページの共通点
これまでお話ししてきたように、
ホームページ制作で大切なのは、
見た目の新しさや、
特別な機能を詰め込むことではありません。
実際に、
患者さんや紹介元の方から
「ちゃんとした院ですね」
と言われているクリニックのホームページには、
いくつかの共通点があります。
それは、
強く主張しているわけでも、
派手にアピールしているわけでもありません。
むしろ、
必要な情報が、必要な順番で、
落ち着いて整理されている
という印象を持たれていることが多いのです。
例えば、
初めてホームページを訪れたときに、
「どんな先生なのか」
「どんな姿勢で診療しているのか」
が、自然に伝わってくる。
専門的な説明に入る前に、
患者さんの不安を受け止める言葉があり、
読み進める中で
「ここなら安心して相談できそう」
と感じられる流れがつくられています。
また、
診療内容や設備についても、
情報が多すぎたり、逆に少なすぎたりせず、
初診の方が知りたいポイントに
きちんと焦点が当てられています。
こうしたホームページは、
「すごいことをしている」ようには見えなくても、
誠実さや安心感が、
全体を通して伝わってくる
という共通点があります。
これらは、
センスや流行に左右されるものではなく、
考え方と設計の積み重ねによって生まれるものです。
次の記事では、
こうした
「ちゃんとした院ですね」
と言われるホームページが、
どんな設計の考え方でつくられているのか。
その共通点を、
もう少し具体的に整理していきます。
まとめ:作る前に、考え方を整えることがいちばんの近道
ホームページ制作について考え始めると、
「何を作るか」
「どこに頼むか」
に意識が向きがちです。
けれど、
この記事でお伝えしてきたように、
失敗しないためにいちばん大切なのは、
作る前に、考え方を整えておくことです。
集客が思うようにいかないときも、
ホームページがしっくりこないと感じるときも、
それは診療の姿勢や腕の問題ではありません。
多くの場合、
伝え方や、考え始める順番に
少し整理が必要なだけです。
患者さんの目線で見たとき、
どんな不安を抱えてページを開き、
どんな情報があれば安心できるのか。
その視点を持ったまま考えることで、
デザインや機能、制作会社の選び方も、
自然と判断しやすくなっていきます。
焦って決める必要はありません。
無理に新しいことを始めなくても大丈夫です。
まずは、
「何を大切にしてきたのか」
「どんな安心感を届けたいのか」
その考え方を、言葉にしてみることから始めてみてください。
それができていれば、
ホームページ制作は
きっと遠回りにはなりません。
次の記事では、
「ちゃんとした院ですね」
と言われるホームページに共通する
具体的な設計の考え方について、
もう一歩踏み込んでお話ししていきます。
公開予定
▶︎ 「ちゃんとした院ですね」と言われるホームページに共通する設計とは


